【コラム】「お前の作り物の『可愛い声』は売り物になるのか?」
今回のお話しは「作り物の声」についてです。
女性の方は「無理に作った可愛い声」、男性の方は「無理に作ったかっこいい声」をイメージして読んでください!
このページで分かること
ある日の養成所にて
管理人「りーに」が養成所に通っていたときの話です。
あるレッスンでAさんが発表をしていました。
それを見ていた講師の方がダメ出しを始めます。
お前の作り物の「可愛い声」なんて売り物にならねーよ!
そんな声よりもっとお前の強みがあるだろう!!
・・・はい。
耳が・・・いたい・・・。
Aさんは女の子のキャラクターを演じるとき、可愛い声で演じていました。
しかし、それは違うと講師から指摘されたのでした。
「作り物の声」とは? ~その声、無理していませんか?~
作り物の声とは?
ところで。「作り物の声」とはどのような声でしょうか。
声優として活躍されている方のボイスサンプルを聞くと、色々なバリエーションの声色を聞くことができます。
ということは、声色を変えること自体は悪いことではないはずです。
悪いボイスサンプルから学ぶ「作り物の声」
ここで、悪い例として管理人「りーに」のボイスサンプル(?)をアップしてみます。
これはレッスンで指摘された悪い例なので、くれぐれもご注意くださいね!
通常の声
私が出しやすい声です。
私が演じるときはこの声がベースになります。
女の子のキャラクターを演じた声
これも私が出しやすい声です。
無理に声を出すのではなく、キャラクターになった結果出た声という感じです。
(悪い例ではないと言いつつ、技術的に未熟な点は目をつぶってください・・・。)
【ダメな例】声を作って頑張って可愛い声を出そうとした声
頑張って可愛い声を出そうとした結果です。
上の「通常の声」とは声色が違っているのが分かると思います。
いかがでしょうか。
「声を作る」ということのイメージが伝わったでしょうか?
先ほども言いましたが、声色を変えること自体は悪いことではないのです。
問題は演者が無理に出している声だというところが問題なのです。
無理に声を作らない方が良い3つの理由
のどに負担がかかる
地声から離れれば離れるほど、のどへの負担は大きくなります。
それを続ければ、いずれ、のどを痛めてしまうことにもつながりかねません。
もちろん、正しい発声を練習すればのどを痛める可能性は少なくなりますが、
それでも無理して声を作るより、自分が出しやすい声で勝負する方がリスクは少なくて済みます。
表現の幅が狭くなる
可愛い声やかっこいい声を出そうとすると、表現の幅が小さくなりがちです。
例えば、自分が出せる声の高低が1から10まであったとします。
地声に近いキャラクターなら声の高低が1~10まで使えます。
しかし、可愛い声を出そうとすると基本の高さが7、8からスタートなので
7~10くらいの間に収めようとするため表現の幅が小さくなってしまうのです。
もちろん声の高低だけで表現の幅は決まりません。
声を使い分けている人は、声の高低以外の表現を磨いて生き生きとしたキャラクターを演じています。
地声が元から可愛い人には敵わない
声を作ろうとすると「可愛い声を出す」ということに意識が必要になります。
そうすると、演技に集中できない部分が出てきてしまいます。
地声から可愛い人はそれを意識しないで済むため、演技に集中できます。
結果、演技面で地声から可愛い人より努力が必要になります。
また、作った声色より自然で無理のない声の方が聞き心地が良いものです。
もし、実力が同じくらいだった場合、可愛い声のキャスティングには自然に可愛い声を出せる人を選ぶのではないでしょうか。
それなら、無理に他の人が有利な声で戦うより、自分が自分らしく輝ける声で勝負した方が良いのではないでしょうか。
声優の仕事は色々な「声色」を操ることではない!
「声優」の仕事をイメージすると
- キャラクターによって声を使い分けていてすごい!
- 全く違う声に聞こえる!
- 色々な声を出せたほうが良い!
と思われがちです。
しかし、それをはじめから目指してしまうと、のどを痛めたり、ライバルに勝てなかったりとデメリットしかありません。
まずは自分の声を分析し、自分に合ったキャラクターを自分の強みにしてください。
蛇足の話
とはいえ、自分の強みを作った後だったらキャラ声を作っても良いはず!
有名なところでいうと緒方恵美さんのエメロード姫でしょうか。
演技の幅として、地声と違う声を商品として持っていても良いという好例ですね。
同人声優なら自分のやりたいことをやればいい!!
もし、あなたが同人声優を目指しているんだったら、可愛い声でもかっこいい声でもなんでも応援します!!
自分のやりたいことを自由にやるのが同人活動の醍醐味です!!
ただ、私の失敗エピソードがあるのですよ・・・。
私の失敗エピソードなので笑ってやってください。
私は自分のボイスサンプルとして「無理して出す可愛い声」をあげていたんです。
そして、それを聞いた方がご依頼をくださったのですが・・・。
40分近く、あの声を出し続けるのはしんどかった・・・。
それを機に、私のボイスサンプルから「無理して出す可愛い声」は消えました。
私なんぞが可愛い声を出せると思ってごめんなさい。
そんなわけで、同人声優の皆様!!
のどを大切にして素敵な同人活動を送ってください!